ある日、バンド仲間のドラマー・うし君が練習曲にJanisをやろうと言い出した。「高校生の頃、何度も聖歌隊の勧誘を受けたような声質のわたしに歌えと?」案の定、ヒステリーを起こして喚いているみたいなでした・・・。そんな思い出深い(?)練習曲のひとつ"Piece Of My Heart"も含めてこのアルバムに収められている楽曲は"Essential"と呼ぶにふさわしいものばかり! うし君がもう1曲持ってきたのが"Me And Bobby McGee"。アルバムではアコースティック・ギター1本で弾き語りしていて、どうやらデモ・テープ・ヴァージョンらしいです。渋い!
今でこそ伝説のカリスマ的存在ですが、Janisはその独創性ゆえか、当時はなかなか受け入れられず、「愛されたい、認められたい」ジレンマからドラッグ・酒・タバコ・セックスに溺れては、更に世の中から孤立してしまう悪循環を繰り返していました。そんな彼女をモデルにした映画「Rose」は救いのない辛いストーリーなのに、主題歌「Rose」は相反して夢をあきらめずに前を向き続ける内容です。このストーリーをどう解釈したらこんな曲ができるのか?ずっと謎でした。「Rose」はこう終わります、"思い出して 冬の冷たい雪の下、奥深く眠る種は、太陽の恵みを受け、春に萌える バラなのだと" Janisは1970年に、ヘロインの過剰摂取でこの世を去ります。皮肉にもその翌年"Me And Bobby McGee"はBillboadチャートに乗り、彼女の活動期間では唯一のメガヒットとなります。これが Janisの咲かせたバラなのでしょうか・・・。不器用で感情むき出しの切なくもパワフルな歌声をご堪能ください!