「コンの試聴」 女性ボーカル 今週のおすすめはCD2枚です。ご応募いただいた皆様から抽選で各1枚ずつプレゼントします。お名前、送り先、ご希望のCD(「ザ・ニアネス・オブ・ユー」か「フロム・ジス・モーメント・オン」)を明記の上、下記メールアドレスまでご応募ください。 mailto:merumaga@hifido.co.jp 締め切り日時は3/15(木)21:00です。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。 |
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コンのおすすめCD その1 ティファニー 「ザ・ニアネス・オブ・ユー」 ティファニー(vo)、レイモンド・マクモーリン(ts)、海野雅成(p)、鳥越啓介(b)、ジミー・スミス(ds) 2006年東京で録音(CD/SACDハイブリッド盤)ヴィレッジミュージック VRCL-18834 2006/10/18発売 曲目 (1) 月光のいたずら (2) いつか王様が (3) 恋をしましょう (4) サマータイム (5) ザ・ニアネス・オブ・ユー (6) ペーパー・ムーン (7) バイバイ・ブラックバード (8) イット・グッドハブン・トゥ・ユー (9) ミスティ (10)ルート66 (11)マイ・ファニー・バレンタイン |
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ジャズ・ボーカルは実にいいものだ。偶然だが2006年10月18日(水)NHK BS2午後4時〜5時まで「ゴールデン・ジャズライブ」をやっていた。ピアノ・トリオ中心にクラブでの懐かしいライブ演奏で、その中でも世界的なジャズ・ボーカリスト、故サラ・ヴォーンが自身のピアノ・トリオをバックに、あの体格から繰り出される量感に溢れ、ドス(低音)の効いた素晴らしい歌声を披露してくれていた。途中ジョークを交え、「私はエラ・フィッツジェラルドです」と自己紹介して客席の爆笑を誘っていた。 「いやぁ・・実際そのとおり、よく似ているよね!」 サラ・ヴォーンを継承する現代を代表する一人はダイアン・リーヴスかも知れない。そういえば思い出した。6年ほど前であろうか、ダイアン・リーヴスが出したアルバム「サラ・ヴォーンに捧ぐ」TOCJ-66087があった。 前置きが長くなったが、またまた凄いボーカリストが誕生した。フレッシュで魅力的なボーカリスト、その名は「ティファニー」だ。前述したように、一曲聴いた途端、あのエラ・フィッツジェラルドの若い頃に、生き写しのようなイメージが呼び上がるのだ。最初からいきなり、ダイナミックで力強い超アップテンポの曲(1)「月光のいたずら」である。高速で迫力あるボーカル・フィーリングとスイング感は一作目とは思えない見事な出来映えで圧倒的なパフォーマンスを披露してくれている。オーソドックスなジャズを完全に自分のものにしているようだ。(2)「いつか王様が」では、キュートな優しさを醸し出しながら、堂々と時にはダイナミックである。正統派的な歌い方なので、心を和まされていくようだ。ジャケットの写真を見ても大きな目をクリクリさせて愛嬌ある笑顔が何ともいえないくらい可愛い。聞くところによると、ティファニーは小さい時から歌うのが大好きだったという。また家族も教会の合唱団に関係していたので、家の中はいつも音楽が流れていたということだ。生まれながらにして音楽が自然と身についていったのだと思う。オーソドックスなモダン・ジャズを聴いて育ったとも語っている。だからティファニーは普通に生活する中からジャズのセンスが自然に湧き上がってきたのだと思う。バラード曲では胸打つ表現力でウキウキするようである。特別な軽やかさもあり本格派大形ボーカリストの誕生だと感じた。 こちらの身勝手な想像だが、これからティファニーが目指す好きなジャズ・シンガーはエラ・フィッツジェラルドか、またはサラ・ヴォーンかと思ったが、好きなのはダイアン・リーヴスだということだった。これだけ若くして優れた才能を持ち合わせているので、これからもより勉強をして、足が完全に地に着いた本格的なシンガーを目指してもらいたい逸材のボーカリストだ。これからますます期待も高まる。 |
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コンのおすすめCD その2 ダイアナ・クラール 「フロム・ジス・モーメント・オン」 ダイアナ・クラール(vo)、アンソニー・ウイルソン(g)、ジョン・クレイトン(b)、ジェフ・ハミルトン(ds)、ハミルトン・オーケストラ ユニバーサルジャズ UCCV-1095 2006/8/30 発売 曲名 (1)「イット・グッド・ハプン・トゥ・ミー」 (2)「イズント・ジス・ア・ラブリー・ディ」 (3)「ハウ・インセンシティブ」 (4)「イグザクトリー・ライク・ユー」 (5)「フロム・ジス・モーメント・オン」 (6)「アイ・ワズ・ドゥー・イング・オーライト」 (7)「リトル・ガール・ブルー」 (8)「デイ・イン・デイ・アウト」 (9)「ウィロー・ウィープ・フォーミー」 (10)「カム・ダンス・ウイズ・ミー」 (11)「ユー・キャン・ディペンド・オン・ミー」 |
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ダイアナ・クラールは、もうベテランの領域に入ったであろうと思われるくらい、風格とスーパースターぶりを披露してくれている。ハミルトン・オーケストラをバックに豪華で素晴らしいボーカルで綴って行く。スタンダード的なアルバムは2001年に発売された「ザ・ルック・オブ・ラブ」UCCV-1020以来、5年ぶりのアルバムである。 「恋を語るには、ダイアナは欠かせない」といわれるくらいの人気美人シンガーであり、またピアニストでもある。まず(1)「イット・グッド・ハプントッ・ミー」から聴いていくと、情熱的で歌詞を大切に歌っていることに気付くであろう。ここがダイアナらしいところなのである。これは野球ファンならご存知であろう。2001年のメジャーリーグのオールスター戦でダイアナがカナダ国歌を歌った。丁度テレビを観ていてダイアナが登場してきたので少々驚いたことを思い出す。TV解説でも「最もセクシーなカナダ国歌だった」といっていた。(同感だ!)それからアメリカ、カナダにおいて、名実とも超一流の人気と実力を兼ね備えたボーカリストとして知られるようになった。次の(3)「ハウ・インセンシティブ」ではボサノバの曲を彼女独自のフィーリングで聴かしてくれており、思わずうっとりと聴き入ってしまった。(5)「フロム・ジス・モーメント・オン」もいいが、(7)「リトル・ガール・ブルー」のように、ストリングスをバックに呟くように歌うダイアナの何とも言えないたたずまいが、巧みな編曲を得て、ディテイルにこだわった繊細な歌唱を披露して くれているのが、聴いていても心に響いてくるのが印象的でもあった。 各パートでのメロディのよさもあるが、それに負けていないダイアナの魅力的な歌唱力が素晴らしいところだ。これほど自分の世界を表現したものは過去になかったのではないだろうか。一方アンソニー・ウイルソンのギターでの雰囲気も最高に盛り上がり、特にその中で彼女の各ヴァージョンの出来映えは最高潮に達する。サウンドはギターを一歩前に出し、後方にベースとドラムスを配置して、音のレンジも広く、好バランスで音作りをしているので、安定感も加わり安心して聴くことができる。 |