ビンテージサウンドフェスタ&アナログレコードコンサート in 大丸京都店 9.1 メルマガ誌上実況中継 過日、大丸京都店で行われたハイファイ堂ビンテージサウンドフェスタでのレコードコンサート9月1日2日の2日間を担当させて頂きました。 本日はその模様をお伝えします。 日本橋店 渡辺正 |
|
実演!茶色い瞳のソウルミュージック http://www.hifido.co.jp/merumaga/nihon/130913/ 皆様こんにちは! 「ハイファイ堂ヴィンテージサウンドフェスタ」特別企画レコードコンサートのお時間です。 8月27日より9月9日の14日間開催の、ハイファイ堂スタッフがホストとなって、それぞれの愛聴レコードを持ち込みレコード演奏の実演を行い、アナログレコードの魅力や音楽の素晴らしさを伝えていこうという催しであります。 本日、担当させて頂きますのは、大阪日本橋店のワタナベでございます。それではこれより小1時間、お付き合いよろしくお願いします。 ワタクシのテーマはニューヨークに於けるラテン音楽。 公民権運動が起こる50年代半ばからラップミュージックの台頭する80年代後期の黒人音楽に於いて最もスリリングだった時代にニューヨークの下町でガンガン鳴っていたラテンジャズやサルサを中心にプレイ致します。 今日はですね、まるでニューヨークの下町を散策しながら、ドアの向こうから漏れ聴こえる音楽に誘われるように、ジャズクラブをハシゴしたり、ストリートミュージシャンの演奏に足を止めて聴き入ってみたり・・・。 そんなイメージで進めて参ります。 それではさっそく参りましょう〜! |
|
"Yo Quiero Cantar/TITO NIEVES " LP 1989 side B.Heart Of Mine では、この一曲からです。 (レコードをプレイ) ティト・ニエベスのハート・オブ・マイン。讃岐うどんを氷水でキリッと引き締めた様な清涼感とコシのある演奏でした。この洗練度とポピュラリティーはニューヨーク・サルサの到達点でもあり、同時期より台頭するサルサ・ロマンティカと呼ばれる踊ることよりも聴くことに重きを置くメローなサルサへのターニングポイントにもなった作品であります。 |
|
ON THE STREET CORNER ニューヨークの下町には、白人以外にも様々な人種の人々が暮らしています。 アフリカン・アメリカンの他、スペイン語を母国語とするプエルトリコ系移民、チャイニーズや中東系移民達の居住区があり、それぞれのコミュニティーで根を張り支えあい暮らしているのですが、そのなかでもアフリカン・アメリカンとプエルトリコ系移民はニューヨークの人種に於ける中核となっています。 |
|
"ON THE STREET CORNER 山下達郎 "1986 side A:SPANISH HARLEM そんなニューヨークを象徴するこの曲、ラテン音楽ではありませんが 山下達郎でスパニッシュ・ハーレム。オリジナルはベン・E・キング61年の作品で、プエルトリコ系移民への連帯と愛を込めた美しい曲です。 (レコードをプレイ) ワタクシ、普段あまり歌詞を意識しないですし英語もわかりませんが、このシンプルな歌詞は胸に沁みます。「君はスパニッシュハーレムのコンクリートの隙間に咲く一輪の赤いバラ」という淡く可憐なラブソングを山下達郎のドゥーワップバージョンで聴いて頂きました。 |
|
"PATATO Y TOTIKO/PATATO & TOTIKO" LP 1967 side A.Mas que nada ニューヨークの下町の狭いエリアにプエルトリコ系移民もアフリカンアメリカンも隣りあい住んでいて、通りを歩けば街角から自然と先ほどのようなドゥーワップが聴こえてくるんでしょうし、その隣の筋では軒下にタンボール(太鼓)並べてラテンリズムに興じるプエルトリカンの姿が見られたんだと思います。 そんなストリート感覚溢れるアフローキューバンのデスカルガ(セッション)をお聴き下さい。 (レコードをプレイ) 「NYに咲くアフロ・キューバン・ルンバの大輪」こんなキャッチコピーが添えられて5年程前に国内盤CDも発売されましたが、スパニッシュ・ハーレムの歌詞にインスパイアされてのものと思えてなりません。それにしてもこの、ざわざわとした空気の中からおもむろに鳴り出すコンガがたまりません。 |
|
マンボとR&Bに呑まれて 1960年代半ばのニューヨークというと、アポロシアターではジェイムズ・ブラウンが大勢の女性シンガーを引き連れ一大ソウルレビューを行い、そこから少し歩けばバードランドというジャズクラブがあり、マイルス・デイビスのスモールコンボがいつ終わるとも予測出来ない丁々発止のインタープレイを繰り広げ、さらに数ブロック先にあるパラディアムではティト・プエンテ楽団が満員の観客を湧かせている、といったことが連日のように起きていました。 ヒスパニック街の、いわゆるあんちゃん達も、ラテンを心の支えにしながらもジャズやR&Bにも心酔していくわけです。ラテンリズムとジャズが結びつきマンボが生まれ、マンボにR&Bテイストが注入されブーガルーと呼ばれる混血音楽が生まれるのです。 ここでプエルトリカンたちが心酔したR&Bと、その影響を色濃く受けたブーガルーを続けて聴いて下さい。 |
|
|
|
"SOULSISTERS(OF THE WORLD UNITE)/MARVA WHITNEY"7INCH side A.SOULSISTERS(OF THE WORLD UNITE) "AGUA CON SAL/BRONX RIVER PARKWAY"7INCH side A.AGUA CON SAL はじめの曲がマーヴァ・ホイットニーのソウルシスタで、生粋のファンクリズムによるR&B。ジェイムズ・ブラウン直系のハードなファンクチューンでした。 その後にお掛けした曲がルンバのリズムをベースにジェイムズ・ブラウン的なホーンのリフに甲高く線の細い典型的なラテンボーカルで構成されるブーガルーナンバーです。 いかがでしたか? この2曲からブーガルーの成り立ちを感じて頂けたら幸いです。 |
|
"MR. NEW YORK AND THE EAST SIDE KIDS/JOE BATAAN" LP 1971 side A1.My Opera www.youtube.com/watch?v=40lWkI6ku0w side B3.Make Me Smile そしてブーガルーといえばこの人を外す訳にはいきません。アルバムMR. NEW YORK AND THE EAST SIDE KIDSから2曲続けてどうぞ。 (レコードをプレイ) 1曲目はバターンのヴォーカルが最高な哀愁ただようバラードMy Operaでした。 そして2曲目がシカゴのカバーでMake Me Smile。グルーヴィーなラテン・ソウルチューンでした。がらっぱちな中に哀愁を秘めたバターンのボーカルが素晴らしく、ジャケットの写真からもスパニッシュ・ハーレムの雰囲気がビシビシと伝わります。 |
|
"Jou Ouve/malavoi" LP 1988 side A1.Jou Ouve ハードな曲が続きましたのでお口直しに爽やかな曲を聴いて頂きましょう。 ニューヨークは人種のるつぼと言いますが、音楽のるつぼでもあります。ニューヨークの街を歩くと、運が良ければこんなバンドの演奏に出くわすこともあるはずです。カリブ海に浮かぶフランス領の小島マルチニーク島の古いビギンという音楽をリメイクし現代(88年当時)に甦らせたマラヴォワというバンドです。キューバンスタイルのチャランガという大編成のバイオリンがリズミカルに舞う中を、ソウルミュージックのような太くうねるエレキベースが縫うように走り、テナーヴォイスのヴォーカルメローで心地良いのですがかなり扇情的で色っぽい歌詞だそうです。まさにマラヴォワでしかありえない極上のダンスミュージックを紡ぎ出しています。 (レコードをプレイ) |
|
|
|
|
|
マンボとジャズに呑まれて "EL BANTU RAY BARRETTO & His Orch"7INCH side A.EL BANTU side B.MR BLAH BLAH "BANG! BANG! THE JOE CUBA SEXTET"7INCH side A "GET ME TO THE CHURCH ON TIME TITO PUENTE"7INCH side A お口直しの後は50年代後半から60年代始めの音楽をドーナツ盤で4曲続けて聴いて頂きます。 (レコード4曲をプレイ) アフリカンアメリカン同様に合衆国に於いてプエルトリカンが音楽をやる場合、アフリカ大陸を思わせるいかにもなジャングルサウンドを白人達は要求するのでした。そんなイメージの野蛮な雄叫びで始まるエキゾチックでモンドなEL BANTU、子供か女の子のような声がキュートなパーティーチューンのMR BLAH BLAH、THE JOE CUBA SEXTETによるクラブヒットのBANG! BANG!はイントロのピアノが気持ち良く、こういう曲をかっこ良く踊れるようになってみたいものです(笑)。最後はラテンの王様、ティンバレスの仏様、TITO PUENTEによるオールドタイミーなルンバでマンボなナンバーで締めくくります。 アフリカにルーツを持つルンバというリズムはキューバを経由してニューヨークに着地しジャズと混じり合いマンボとなりました。 アフロキューバンやマンボをさらにR&Bっぽくしたのがブーガルーで、ブーガルーはより流麗でシャープなサルサに変化して行きました。 キューバこそがラテン音楽の最高峰だとの意見もありますし、それは間違いないと思いますが、雪降る都会の片隅で異種交配を繰り返しながら独特のストリート感覚を持ち合わせたニューヨークラテンに私は強く惹かれますし、そのわかり難い生い立ちを含めて、少しでも紹介出来ればとの気持ちでプレイさせて頂きました。 本日はほんとうにありがとうございました。 最後にボーナストラックとしてこの1曲、お時間よろしければお聴き下さい。 マンボの母がアフロキューバンならば、父はスウィング・ジャズ。 マンボ〜ブーガルー〜サルサの父とも言えるスウィング・ジャズの雰囲気をお気楽に聴いて頂ければと思います。 尚、9月5日のレコードコンサートはスタッフ朴による「JIVE!(ジャイブ)~1930〜50年代のブラックエンターテイメント」であります。 正に本物のスウィング・ジャズの洪水が浴びられるはずです。 http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto/140912/index.html |
|
"ちょっと待って下さい/なかの綾 with バンバン"7INCH side B。すずめの涙 それでは、桂 銀淑(けいうんすく)のスマッシュヒットカバーですずめの涙です。歌は京都・西陣生まれのなかの綾さん。 思わず腰が動くビッグ・バンド風スウィングアレンジがかっこいいです。 (レコードをプレイ) |