オリジナル・タンノイでモノラル再生に挑戦! 大須本店 越濱 靖人 |
|
今週の大須本店・店内はクラシック盤で覆われています。その中でも黄色いラベルばかり・・・そうグラモフォン特集です!先週はロック特集でしたので歯切れの良いセットで組んでいましたが、今週はクラシック特集と言うこともあり音色を追求したブリティッシュ・サウンドで行こうと決めました! そんな中、ちょうどタンノイ・コーナーヨーク(英国オリジナル1本のみ)がキラリ。これをうまく活かすべく往年の名管球アンプ・クオード2+22をチョイス。レコードをモノラルで再生してみました。 |
|
プレーヤーは大須本店の入り口で大活躍中!デノンのDP-37F(49,800円)です。フルオートプレーヤーの魅力「リピート機能」で1日中休まずイイ音を再生してくれます。フルオートプレーヤーは、しばし低俗に見られがちですが昔のデンオン時代のプレーヤーは非常に音が良く丈夫です。電子アームの精度が高く、キレよい抜群のトレースが魅力です。 |
|
今日のレコードはちょっと暗めですがオイストラフのバッハです。共演ハンス・ピシュナー(チェンバロ)です。ドイツ盤で音質も抜群!ちょっと涼しくなってきた秋の夜にじっくりと聞き込んでみたい2枚組です。 BACH VIOLIN SONATEN / DAVID OISTRACH , HANS PISCHNER 2LP GERMANY Pressing J.S.BACH SONATE FUR VIOLINE UND CEMBALO NR.1 H-MOLL BWV 1014 SONATE FUR VIOLINE UND CEMBALO NR.6 G-DUR BWV 1019 SONATE FUR VIOLINE UND CEMBALO NR.4 C-MOLL BWV 1017 SONATE FUR VIOLINE UND CEMBALO NR.5 F-MOLL BWV 1018 SONATE FUR VIOLINE UND CEMBALO NR.2 A-DUR BWV 1015 SONATE FUR VIOLINE UND CEMBALO NR.3 E-DUR BWV 1016 DAVID OISTRACH, VIOLINE HANS PISCHNER, CEMBALO |
|
ステレオ録音ですが・・今回はクオード2を使ってモノラル再生しました。 |
|
クオード2+22 358,000円(セット) http://www.hifido.co.jp/KW12-68655-53650-00/G1--/P/A10/J/0-10/S0/M0/C12-68655-53650-00/ クオード初のステレオアンプセットです。KT66出力管のプッシュプルアンプで15Wの出力です。現在では大変小さな出力にみえますが、実際ならしてみるとその底力に圧倒されます。非常に強力なアンプです。その他、このアンプをチョイスした理由に当時のタンノイの純正アンプであったこと、そして濃厚な音色が特徴であることです。ハツラツとした元気の良さも持ち合わせ、私はクオードの中では最高のアンプだと思っています。特にオリジナルタンノイとの相性は間違いありません! |
|
クオード22がプリアンプ、クオード2がパワーアンプの名称です。もともとはQC2というモノラルのプリアンプとクオード2パワーアンプがセットでモノーラルアンプセットだったところからスタートしました。その後、ステレオ時代に移行するに従いプリアンプをステレオ化、パワーアンプも2台接続してステレオアンプセットになったというのが流れです。 クオード22プリアンプにはモノラル・ステレオ切り替えスイッチが付いており、ステレオだと2台分のパワーアンプが点灯しモノラルだと1台しか点灯しないように設計されています。この辺の機能美も私がピーター・ウォーカー(クオード創立者)を愛してやまない理由の一つです。 |
|
クオード2パワーアンプに付いているGEC製KT66真空管はこのアンプの要です。GECでないと本領を発揮しません。たまに中国管・ロシア管が付いている場合がありますが、残念ながら英国GECにはかないません。音色が違うのです。GEC製は実に緻密で雄々しい音色がでます。精度も高く故障率が極めて低い。当時のイギリス職人の気高さを感じます。 前段のEF86はムラード製メッシュ管がすばらしいです。他にもプレート管がありますが、メッシュの方が音に甘みがありグッと引き込む深さを持っています。写真では見にくいですがこのクオード2もメッシュタイプです。 |
|
タンノイ コーナーヨーク モニターゴールド15 オリジナル品 258,000円 http://www.hifido.co.jp/KW13-75431-93727-00/G1--/P/A10/J/0-10/S0/M0/C13-75431-93727-00/ 英国オリジナルエンクロージャーのコーナーヨークです。タンノイ社の38cm同軸2ウェイユニット・モニターゴールド15を搭載しています。私はこのゴールドが大好きで、数あるタンノイユニットの中でも1番よく出来ていると思っています。過去ブラック・シルバー・レッドを経て完成されたユニット「ゴールド」は非常にバランスがよく、タイトに弾み、より複雑になったネットワークで音が練られています。クオード同様、緻密で濃く雄々しい音色が魅力です。そして受け止めるエンクロージャーもよく出来ています。中の写真を撮っていませんがみっちりと吸音材が張り巡らされ、ダルい低域は一切しません。低音はきりりと引き締まり、艶っぽい音だけが前へ出ます。オイストラフの弾き切るヴァイオリンの音色をうまく引き出しています! |
|
ここで一つ、オリジナルの見分け方です。サランネットの生地が下記の写真の物になります。オートグラフ・GRF・カンタベリー(オリジナル)も全てこの生地を採用しています。かなりの生成色で、独特の模様が施してあるのが特徴です。 |
|
裏面の右上、刻印にも注目です(下記写真)オリジナルエンクロージャーの場合は必ずこの刻印が入っています。左のホッチキス・ラベルは外して入れ替えることが出来ますが、刻印はその筐体でないと入れることが出来ません。重要な印です。 |
|
そしてこの無数にある目留め(下記写真)おそらく釘を打った後に塞いでいる物だと思います。過去に見たオリジナルタンノイには必ずこの目留めがあります。この辺も造りが大変丁寧でよく出来ていると、いつも感じています。今ではこんな面倒なことはしないと思います。とてもキレイに仕上げており、ここにも当時のイギリス職人の気高さを感じてしまうのです。 |
|
私のテーブルから、いつもこの角度で聴いています。 イギリスの往年の名機は「ああ、次も聴いてみたい、あの弦の響き」と思わせる輝きと深みがあります。とても克明で厳しい音が出る中、実に艶っぽい弦の響きがなんとも堪らないのです。これは現在のハイエンド機にはちょっと真似できない要素だと思います。 特に古めの名盤をしっぽりと聴きたい方にオススメです。 私もモノラルはじめてみようかな〜と思う今日この頃でした。 |