「オーディオ雑談カフェ」 8.〜部屋の音響〜 2006-7-14 音迷人 最近はほとんどお目にかかっていませんが、何とも調子の良いものです。以前お勧めした「生録」のための良い音源なのですがね。 富山市で確かチンドン屋大会が行われていたかと思います。 |
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私たち音楽好き、オーディオ好きが手塩にかけたシステムから好きな音楽を流して、何かと感慨に耽るのは宇宙のような大きな音楽に比し、残念ながらかなり小さな限られた空間においてです。それも日常生活の空間と共用しなければならないのが現実でしょう。私も紆余曲折?が有って現在のリスニングルーム(もどき)を得ましたが、オーディオ修行?の大半は居間(リビング)であり客間であり又は寝室兼用和室でした。しかしながら一たびシステムの電源を入れる儀式を始めると、そこは音楽場!間取り図上の名前なんかどうでも良いのです。そうですこの感覚で全てをリスニングルームとして、これからより良い響きを求めて基本的なチェックポイントについて話しましょう。と言っても殆どご承知の事ばかりだと思います。 ◆家の響きを改めて認識しましょう。ここで響きと言うとエコー成分だけのように聞こえますが、そのバランスも重要であることを、覚えて置いてください。まず音が出るものや、声を使ったチェックです。傍から見ると「この人大丈夫?」状態に成りますので、辺りを伺ってやってください。(チンドン屋は迷案です)それと過去の響きの体験も(街や店舗、ホールなど)も思い浮かべてください。 まず表に出て声や音を出しながら(あ、良く聴いている音楽をラジカセで流しながらも良いかも知れません)玄関に近付き、上がり込んで、家の構造によりますがリビング、ダイニングキッチン、和室、寝室、トイレ、洗面所風呂そしてリスニングルームと巡ります。空間の違いで面白いほど聞こえ方が変わりますね。(皆さんは「風呂場のマイスタージンガー」と先刻ご承知でしょうがね)こうして認識しかつ好きな響きの部屋やポイントをマークして置きます。でも特定の音域でしかないので目安です。さていよいよリスニングルームを気に入った音響にすべく勉強?しましょう。偶然にも響きに問題を感じない場合は何もしないで結構です。 ◆残響:音は一たびスピーカーから放たれると、減衰吸収されるまで部屋の中を秒速340mで駆け巡ります。聞こえなくなるまでの時間を残響時間と言いますね。部屋では長くて0.5秒短くて0.1秒位だそうです。ホールや教会は2〜5秒と言われています。反射の無い野っぱらの様に(それでも大地の反射はありますが)音が出てわが耳を通過したらもう戻ってこない音の場とは明らかに違って、同じ時に空間に放出された相似的な音(反射音といいます)が何度か耳にやってくるのです。先ほどの残響で0.3秒としても音は約100m走ります。8畳間では28回も行き来するわけです。この反射音は基の音を助けたり汚したりします。この汚す部分を検討しましょう。 |
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◆逃げられない部屋の定在波:ここで言う定在波とはSPから出た音波(進行波)と壁に当たって戻ってきた音波(反射波)が「干渉して出来た音波」です。ある条件では干渉が特徴的になり、汚すのです。解りやすく言うと与えられた空間に長く居座る音波(部屋の共鳴波)と思ってください。定在波にはまだまだ違うモードがありますが解りやすく対処しやすい平行面間の定在波としましょう。先に述べたように限られた空間で音楽を聴きますから、ごく特別な処置をしない限り発生します。下図で説明しますので見てください。悪さをする定在波を絵で書くと下図ですがその部屋の寸法により変わりますが、部屋にはまり込んだ音波がここで言う「定在波」です。はまり込んだ場合理論的に音が打ち消しあって聞こえない「節」と大きく倍加する「腹」があり部屋の中でムラが出来ます。「節」は下図の例で描いた波の「振幅0」のゾーンに、「節」は壁際と振幅大のゾーンにあります。定在波でなくはまり込まないと波動が絶えず動いて特徴的に聞こえないわけですね。部屋で周波数特性を取ると、定在波の影響のディップやピークがはっきり現れます。周波数レコードなどを掛けて部屋を縦横に歩いてみてください。大きく聞こえたり小さく聞こえたり吃驚するぐらい変化しますよ。 |
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◆音像と干渉:音は放たれると部屋中を駆け巡ります。大まかな考え方ですが、鏡張りの部屋とすると、下図のような聴取位置関係ではSP映像が1次反射として左右各々A,B,Cの位置に写って見えるわけです。つまり光が来て見えるようにその虚像のSPから音が来ているように反射波は振舞うのです。本SPからの音を直接音と呼びましょう。耳にとって直接音が支配的ですが、反射音がそれなりにあるとベクトル合成的でSPの位置が変わります。低音、高音など音域で反射の割合が変わるのが現実ですから、音像が落ち着きません。次に直接音と反射音が耳に飛び込むときに反射音のパスが変わってくるので、位相ずれが生じ干渉して直接音の波形を汚します。この事で出来るだけ反射を無くすと良い訳です。ならば無響室にして聞けばよいかというと、これまた鋭すぎて、かつ身の回りの響きが日常的でなく5分も居たらおかしくなります。私も一度無響室に入ったことが有りますが、異常な世界で無音の静けさと言うより音を出すのにつまり話をするのに凄いエネルギーを必要とします。自分の声が耳に戻って来ないからでしょう。実際の部屋ではA,B,C点で吸音するか乱反射させればよいでしょう。響きの多い部屋がお好きな方、或いはそれが適した音楽を聴かれる方は乱反射して満遍なく音が散るようにしてください。定在波も減ります。 |
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◆以上でオーディオルームでの基本的な音の振る舞いや問題点が解りました。皆様の部屋では音楽を聴く時、既に「その特性が決まっています」。聴いているうちに変わることはありません。変わったと感じたらそれは頭を動かしたか、前回のメルマガで申し上げたお耳の気まぐれです。勿論機器の温度変化(ウォーミングアップ)などで変わるのは別ですよ。 まとめると次のようになるかと思いますので、ご自分でも把握されどうやってチューニングするかを計画されては如何でしょうか? お断りが遅くなりましたが、本編は最近多くなった洋間タイプで話を進めました。和室タイプはその材質上(障子や襖)影響が一般に柔らかくなります。音が通過してしまうのでさほど残響は無いので良いのですが、近所への騒音問題や、侵入音が増える問題が出ます。 ★リスニングルームは割りと小さな限られた空間である。 ★部屋の形状、置物などで、様々な定常波が存在する。部屋の平行面を少なくする。 ★音は反射によりいろいろな方向から、いろいろな大きさでやって来る。満遍なくくれば問題は小さくなる。 ★音は跳ね返ったり吸収されたりするうえ、それらに周波数特性を持っている。低音は吸音し難い。 ★コントロールするのには吸音と反射を活用するしかないが左右のバランスを重視すること。 ★つぼを押さえて、カットアンドトライを行う。ソフトにはそのホールの残響が入っているので、部屋はあまり響かない方が、ハイファイ的。 ★グラフィックイコライザーを大きなディップ、ピークに使うような最小限の活用もある。 私の遊び場についてはメルマガ 160号で http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/051223/index.html お話しましたが、専門家が専門的な材料、構造で部屋を作ったわけではないのですが、チューニングを重ね今はまあホールを感じられるフィディリティーを得ています。「玄関から入って・・」の手法で言うと、部屋はデッドな方になりました。 |
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◆ルームチューンのグッズが数多く出ています。値段もなぜか驚くほど高いですね。SPやアンプより高いのはどうかと思います。どれを使うかはご自由ですが、適切な所にちょっぴり使うことでしょう。アイデアと体力で効果有るグッズがリーゾナブルに作れます。それこそ世界に唯一のもので、自作の楽しみでもあります。私のヒントを挙げておきます。 ★通販の「つい立」に反射、吸収の細工。★安タペストリーやカーペットを壁に下げる。★ウッドカーペットなどで平面を曲面や波面にする★反射吸音コントロールに、板を向きが変えられるように下げる★その板はチェロとか、ギターとか車?などの形でインテリアになるように★部屋の中での悪さをする共鳴物を見つける。etc. つづく 写真横:ヒヤリングポイントの横にあるドアと壁での処置です。ドア用は数百円の角材で枠を作りドアに吊り下げます。3mmベニヤ幅より少し狭く造ったフックにベニアを弓なりにまげてはめています。それも向きを直行させて造りました。一番上を外してお見せしています。 この壁の向かい側が掃き出しガラス戸でカーテンになっていますので、バランスをとるため共布でカバーした吸音部としています。中には古いマットレススポンジ:硬密タイプと軟粗タイプが入っています。全て自作です。カーテン生地がせいぜい高かったくらいですから、たかが知れています。効果は大変良好でした。 |
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おまけ◆世界中大騒ぎだったサッカーは終わりました。私は昔々シュートの時のスリリングな瞬間が好きでしたが、Jリーグ等で絶えず試合を見だすとそれも失せてしまい、今ではただのド素人状態です。それでもフランス/イタリアの決勝戦は仮眠を取ってから観ました。そして「ジダン頭突き事件」に遭遇したのですが、驚きました。あのジダンがこともあろうにこの大舞台でまさか!とまず思いました。あたかも彼のための引退試合の様でもあったのですから残念です。ご自分の叙事詩を謳いあげてやめた日本のN選手に比べると雲泥の差です。どうも侮辱的なやり取りがあった様で同情的ですが、それでも私はまずいと思います。 後で我に帰って「地団」駄踏んだとか、怪我をしたら「示談」にするのか、退場になったので「時短」になったなどと、音迷人の駄洒落の犠牲にならなくて済んだのに。 FIFAが手打ちをするならイタリアの選手と握手して終わるしかないでしょう。その時まで「マッテラシテー!」 (ところで何語で口喧嘩が始まったんだろう?) |
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◆富山市のチンドンコンクールはまだ毎年春に開催しているらしい。定在波みたいなチンドンポスターをお借りしました。皆様来年は「生録」に出かけてください。 ◆大須大道町人祭と言うのが10月にあるようです。大須を練り歩くチンドン屋さんも参加するそうです。 ★そこで宿題:ハイファイ堂大須店のスタッフの方に今年の様子を取材してメルマガ又はホームページでレポして頂きたい。音や映像がメディヤプレーヤーで味わえると良いのですが。 ハイファイ堂スタッフなら社長の指示が無くても皆さんに誠意を見せつつ大須を宣伝されるでしょう。 来週からは〜夏休み工作編〜と題してゴソゴソしてみますので宜しくお付き合い下さい。 |