マルチアンプシステムの全てを揃えて、いよいよ最後の構築となります。と書くと「音迷人よ!やっぱりボケたのかい!」と言われてしまいそうです。仰るとおりです。一挙に時間や経済的理由でそう簡単に到達できませんね。私だって大袈裟に言えばMASを始めてからほぼ40年かかって今だチューンしつつ完成領域に少しづつ近付いている(ハズ)のです。負け惜しみは「簡単に出来上がっちゃーお終めーよ!面白くも何ともねーや!べらぼうめ!」で御座いまする。ですからここでは構築してゆくいろいろなステージで必要と思われる事柄を、まとめて挙げてゆきますので、皆様もゆるりと「遊び」ながらおいで下さい。一連の記事は皆さん保存されたが良いですよ。中々優しく、易しく表わした参考資料が無いですからね。(「オホン」と聞こえたが・・?) |
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前回MASの基本要素に「分割周波数」、「遮断特性」と「位相回転」があり、それらが満足された後で仕上げる意味で「レベル調整」が重要と申し上げました。 分割については前回やりましたが、不足を補う意味で3wayの場合で下図によるイメージ説明をしておきましょう。 |
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それでは各項目を簡単に説明しますので把握しいつでも活用できるようにしておいてください。チューニングテクの基本です。 ◆「遮断特性」ですが、音を切る度合いということです。遮断スロープの傾き加減ですね。これは電気的にオクターブ当たり6dB、12dB、18dB、24dB・・・となっています。遮断量を大きくするほどユニットに送りたくない音を早くきります。隣の図はローパスフィルターで、クロスオーバー周波数1KHzの例です。-6dBではかなり切れが悪くスピーカーの暴れなど隠せません。 |
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◆「位相回転」はフィルター回路を通過するときそのフィルター段数(度合い)によって位相が90度づつずれて行くことを示しています。大変原理的な説明で申し訳ありませんが、詳しくは交流電気理論を紐解かねばなりません。これは下表にしておきますので覚えて置いてください。 例えば2wayで考えた時、1段-6dB/octですと低音と高音の位相のずれは90度ですから、著しく波形を損ねません。注意しなければならないのは、手ごろな減衰の2段-12dB/octです。ここでは180度ですから丁度位相が反対になり理屈では消しあってしまいます。こうなるとレベルが落ち、暗い音になってしまいます。ですからどちらかのスピーカーを+−入れ替えて逆につなぎ、出口で正相にします。3段では相対的に位相は-6dBと同じですのでスパッと切れる上に位相問題が少ないので採用したいところです。いずれにしても相がより正しいかを判断するには、クロスオーバーあたりの音が大きく聞こえるほうの接続にしてください。ただしクロスオーバーあたりにSPのピークがあるとき逆相が良い時があります。コロスオーバーとは言いませんぞ! |
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◆最終的調整はレベル調整になりましょう。これは聴きながら詰めて行くわけですが、リファレンスとして良く知った音(自然音、人声、楽器、オケ・・)を使ってやるか、自分が納得できた優れたヘッドフォンと比較しながらやると良いでしょう。音量調整は能率の悪いスピーカー(一般にはウーファー)を基準にして、順次隣から合わせて行きます。ここで問題なのは低音(ただウォンウォン、ムッムッといっている)に中音を付けて行くと、高音が無い分大きめに設定する傾向があります。一寸抑えてから高音を載せて行きましょう。後は夫々ごく少しづつ「動かしては聴き」を繰り返して設定してください。上の特性合成図で例えば中音のレベルを変えると、ドンシャリになったりカマボコになったりで音のイメージが随分変わります。過去のしがらみを捨ててこれが自然だなという響きに整えてください。ここでテクニックのヒントを差し上げます。例えば高音がすんなり伸びていないがそこそこ出ているツイターがあるとき、ツイター側のローパスクロスを4Kから8Kに変えます。レベルが下がった分上げてやると8K以上がレベルアップし伸びて聴こえます。というようにスロープの特性とユニットの特性を加味して作り上げることも出来ます。部屋の定在波の影響で250Hz辺りが強かったりする時ウファーは200Hz,ロウミッドは320Hzというのも試す必要があります。 ◆最後に音源揃えについて確認しておきましょう。先程「位相」の話をしましたが、音源がリスナーから同じ方向、距離であることです。空気を伝わってくる距離=時間を管理することとは、SPの「振動板」の位置を可能な限り揃えるということです。ただ私の経験ではあまりひどくない範囲では、そんなに神経質に成らなくても良いと思います。お人によってはmmや数cm単位で管理されるそうですが、頭を動かしますし、音が通過する時間差からしても私は解りません。きっとオーディオ好きな宇宙人なのでしょう。 以上11月17日からMASのエキスを話してきましたが、概ねご理解されたと思います。 必要なのはスピーカーの配置を含めて眼前にどれだけ演奏空間がそれらしく現れるか、いろいろな音色を歪み無く描き出せるか、音色がそれらしいかと言うことです。片手落ちにならない様、部屋の調整も含めて検討願います。http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/060714/index.html それともし自信がなくなったりしたときは例の「一個づつ論」を思い出してください。あなたの手元には正に如何鳴くか楽しみなユニット(子供)があるのですから! 長い間ご清読戴き有難うございました。次回からまた何か・・・つづく |
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おまけ: ◆LPでアナログオーディオを楽しんでおられる方も多いようですね。カートリッジが入手しにくくなったのか、ハイファイ堂ではカートリッジが賑やかです。大切なカートリッジを長く使うために「三種の小道具」が要ります。針圧計、ニードルルーペそれにレコードブラシでしょうか?今年は暖冬か「もみじブラシ」がまだありましたよ。 |
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◆読売、朝刊の都民版に出ていました。(写真借用)もしやと調べたら、何かのネタにと5月に撮影しておいた「こいのぼり煙突」ではありませんか!風呂屋の旦那は奇特な方で「寒い冬を暖かい気分で・・」と土曜を除き2月まで点けるとのこと。寅さんが観たら「今どき銭湯は大変だよ〜!世の中金ばっかじゃーないよな〜!」と言ったろうな。 |
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