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「オーディオ雑談カフェ」 2006-12-1 音迷人 22.マルチアンプシステム(その3−1)ユニットの選択 いよいよMASの佳境に入ってきました。メルマガという限られた紙面で短時間にオーディオ遊びの最大イベント?MASをガイドするのですから、実は音迷人も牛丼よろしく「汁だく」ならぬ「汗だく」です。気温は寒くなっていますので脳みそが「汗だく」なんです。才能がないということは辛いですね。しかしスピーカーの才能即ち「特性」は引き出さねばなりません。と言うことで今回はユニットの選択について「考え方や目の付け所」をお話しましょう。 表紙写真はご隠居中のJBLとダブル化待ちのサンスイ、38cmウファー |
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これからスピーカーを考えていく上で次の三つの事柄をマスターしておいてください。 スピーカは楽器や声そのものではありません。何にでもなってその音を伝える振動板で出来ています。となると元の音に忠実になるためにはどうしても必要な振動板の性質(能力)があるのです。 1.振動系が軽いこと:すぐ信号に追従して動きやすいし、僅かなパワーで動くから効率が良くなる。 ★キーワード:過渡特性、高音限界周波数、リニアリティー、高能率 2.剛性が高いこと:振動板の隅々までほぼ同時に正確に遅れずに動く。 ★キーワード:ピストンモーション限界周波数、分割振動、歪率 3.内部損失があること:与えられた信号がなくなったとき速やかに振動が止まる。 ★キーワード:共振ピーク、S/N比、音の分離 三つの要素は具体化するとき互いに矛盾する特性でもあるので、SP造がいかに難しいかが解るでしょう。これを理解すると技術者は良くやっているな〜!と感動するはずです。 |
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以上の物性を数値などでディジタル的に捉えて比べても理解し難く始まりません。そこでアナログ的に言うと、ユニットの選択の大前提は「使用状況に無理がなく・歪みの少ない音」を得ようと言うことにつきます。 ◆無理なくとは ★能率が出来るだけ良いこと。★専用SPとは言え再生帯域が狙った範囲より出来るだけ広く平坦なこと。逆に使用帯域を一杯に選ばないこと。★入力耐力がそこそこあること。★より安価なこと(えっ!) ◆歪みの少ないとは ★過渡特性が良好であること★磁気回路を含め歪み率が少ないこと★入力耐力がそこそこあること。 夫々について解説すると長くなりますので、ご自分の筋肉や声帯に擬えて考えれば概ね解っていただけると思います。 選択上の問題は最近は目安となる情報が少ないと言うことです。オーディオ華やかりし頃はそれなりに発表されていました。この情報が再生音を保障する全てではありませんが、電気的確認は出来たし、聴き慣れてくると傾向がつかめた物です。情報が少ない現在どうするかと言うとこれが難しくもあり楽しくもあるのですが、聴いてみるか想像するしかないのです。何を今更こんなファジーなことを!と叱られそうですが、格好付けで嘘を言うわけに行きません。現在身近には早々いろいろなユニットを聴き比べることが出来る店も少ないし、データー類もまとまっておりません。昔は何処にでも在ったかと言うとそうでも無いのですが、多少無理が利いた店も有ったし、内容のあるメーカーカタログも手に入りました。現在はフォステクスが頑張ってくれていますね。 |
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◆低音システムの選択:(重低音<50Hz<低音<150Hz<中低音<400Hz) メルマガ163号の音階表を思い出してください: http://www.hifido.co.jp/merumaga/otomeijin/060113/index.html さりながら低音とか中音という本稿での呼び名は厳密に周波数範囲を表わすのではなく、「システムで主に受け持つ範囲」を呼ぶ為です。 1.ホーンシステム:低音ホーンは良く出来た物は「風の様な低音」とか「圧力のない低音」と言われます。現実となると大きな開口部を必要とし、且つ音道が長くなります。従って大きな構造物となりホームユースでは建物から考えねばならないので、本特集では例外とします。音迷人も造ったことはありませんが、想像するにやり損ねたら、奥の方から遅れて聞こえたり、気柱が共振して「風邪のような音」になりそうです。 2.バックロードホーン:上記のような大きなホーン道をまず実現できません。重低音は無理で少し高めの低音部を補強し過渡特性を改善するようですが、ホーン効果が部分的であったり、共鳴もあり音質的なクセを生みやすいので、初めからはお勧めしません。 3.共鳴形ボックス:代表的なバスフレックス式をはじめ、空気室、ダクトなどを調整して、空気の振動を共鳴させ、レスポンスを稼ぐ方法です。共振峰の位置や大きさのコントロールが難しく、一聴には出ていると思われますが、割と等質の低音が鳴り続ける感じ(ボンつく)が気になります。 4.密閉型ボックス:論理上体積は大きくなりますが、スピーカーの特徴が其の儘出るので、素直な低音が聴けます。良質な超低音ブーストをしてやると、低域共振周波数foより下も鳴り、かなり等身大の低音感が得られます。よく音が鈍いとか暗くなるとか言う方がいますが、イメージから来る思い込みに近く、実音と比べてそんな事はありません。或いは共鳴形ボックスで実音より明るい?のを聴いておられるからでしょうか。と言うことで音迷人は失敗しない為にも密閉型を奨めます。 5.平面バッフル:論理上大きな面が必要ですが音は率直です。ほぼ無限大バッフル(ないしは壁バッフル)は理想的でしょう。大きな大きな密閉型ボックスと同じですね。 |
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◆ではユニットはどれ位のサイズにしたら良いでしょうか。経験的に25cm以上は必要と考えます。20〜30Hzの再生はかなり頑張っても難しいのですが、それらしくは聴こえます。低音については振動板の面積が大きく(低音楽器が大きいように)僅かなストロークで空気を動かす方が効率も良いのです。小さい口径の振動板を大振幅で動かすのでは空気との整合が取れず効率が落ち歪みは増えやすいのです。勿論再生音量や距離などで一概には決め付けられませんが単純に「大きいことは良い事だ」と覚えてください。私も自分の経験を振り返ると16cm〜38cmと段々と大きくしてきましたし、満足もその都度付いてきました。私の場合次は38cmでダブル化です。 |
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◆最低共振周波数f0は30〜40Hzで良いでしょう。◆次に出力音圧レベル(効率の指標)ですが95dB/W/M以上は欲しいです。これが低いことは★磁石が弱めで過渡特性が悪くなり易い★振動板が重い★f0が低いなどが考えられます。★そして同じ音圧を得るのにアンプのパワーが数倍〜数十倍必要となります。(3dB減ごとにアンプは倍の出力が要り不経済です。これは覚えておきましょう。例えば96dBスピーカーで10Wで鳴らしたと同じ音量を得るには93dBのSPでは20Wが必要、90dBでは40Wも必要、逆に99dBでは5Wで良いことになります。) 同じ磁気回路では振動板が重くなるとf0は低くなりますが効率は下がります。 ◆その他備わっているべき特性は★高音は必要以上に伸びていないこと★耐入力がそこそこあること(>50W)★よりフレームがしっかりしていること★ウレタンエッジは劣化が早いので注意のこと★またまた出ました、出来れば安いこと。 重要な低音域について書きましたら長くなりました。中音域高音域ユニットは次回にさせて下さい。 つづく |
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おまけ: ◆友達から音楽風味のメールを貰いました。音楽との素敵な付き合い方があるように思いますので、許可を貰ってご紹介いたします。 ≪結婚式≫ 姪から結婚式の招待状をもらいました。 お祝いにと、モーツアルトイヤーと重なっているので、モーツアルトの中でも結婚を祝うのにふさわしい曲を選んでMDに落とし、下記の説明文を付けてプレゼントしました。 1. オペラ フィガロの結婚から「行進曲」K492 結婚式の入場ではメンデルスゾーンの「真夏の夜」の中で演奏される「結婚行進曲」が定番ですが、私はこちらの曲が大好きです。 2. オペラ ドン・ジョバンニから「あなたがよい子でいるならば(薬屋の歌)」K527 田舎で結婚式が行われようとしている時、ドン・ジョバンニに殴られた新郎のマゼットを新婦のツェルリーナが、私の持っている薬で傷口を治してあげると言って抱き寄せる場面です。薬とはおっぱいのこと。いろいろな指揮者のDVDを借りてくると、早送りしてまずこの場面を見ます。 3.オペラ コシ・ファン・トゥッテから「風が穏やかにあり」K588 出だしの部分、海からのさわやかな風の気分が良く出ています。 4. オペラ 魔笛から「恋を知るほどのお方なら」K620 魔笛の中で一番好きな二重唱です。ベートーベンはこの曲を主題にして「魔笛の主題による7つの変奏曲」を作曲しています。 5.ディヴェルティメント ニ長調 第1楽章 K136 昨年2月長野で開催されたスペシャルオリンピックスの開会式で、この曲が流れていました。実にさわやかです。 |
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6.セレナード第6番(セレナータ・ノットゥルナ) 第1楽章 K239 以前アマチアオーケストラの演奏会を聴きに行ったとき、楽団内の二人が結婚したことを祝って、この曲が演奏されました。 7.ピアノ協奏曲第7番 第1楽章 K242 今一番はまっている曲です。ピアノ3台が奏でるピアノの音色が何ともいえません。 8.ピアノ協奏曲楽章 ロンドから K382 ピアノ協奏曲第5番第3楽章K175に代えて作曲されたもの。出だしが実に実にさわやかです。 折り返し姪から、披露宴の時に数曲使わせていただきます、との返事がありました。 姪が何の曲を選ぶのか期待して結婚式に出席したところ、披露宴で演奏された曲はディヴェルティメント ニ長調 第1楽章 K136」とピアノ協奏曲楽章 ロンドから K382でした。 K136の演奏が始まったとき、私は何となくうれしくなって正面にすわる新婦の方に目をやると、新婦も私の方を見てほほえんでいました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・・・ワインが益々美味しくなりその後は夢見心地だったとか。 |
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◆錆び?:もう一ヶ月で今年も終わります。忙しい年の瀬ですがオーディオシステムも汚れているでしょう。音に直接関わりそうな端子部など接続部をクリーニングしましょう。また剥き出ているSPコード端は汚れが付いたり銅が錆びたりしていますので、磨くか新しい芯線を剥いて使ってください。ふき取れない所の接点には復活剤を塗布しないで下さい。当初は良いのですが、数ヶ月経つと更に怪しくなることが多いのです。 |
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