ポップスの女王・弘田三枝子ハイファイ堂メールマガジン第807号ハイファイ堂レコード

ポップスの女王・弘田三枝子
ハイファイ堂メールマガジン第807号ハイファイ堂レコード

こんにちは、レコード店の松田です。過去に2回カバーポップの女性歌手について書きましたが、今回はその中でも「ポップスの女王」と呼ばれ、カバーポップス期を代表する歌手、弘田三枝子にスポットを当てご紹介させて頂きたいと思います。こちらが以前のメルマガです。・ハイファイ堂メールマガジン第720号掲載「60年代カバーポップス」 https://www.hifido.co.jp/merumaga/2f/171117/index.html 第782号掲載「ベニ・シスターズ、梅木マリ、麻生京子、ほか。」 http://www.hifido.co.jp/merumaga/2f/190125/index.html
ミコの愛称で親しまれた弘田三枝子は、子供の頃から歌が大好きで、流行っている曲はなんでもかんでもすぐ覚え歌ってしまうような子供だったそう。「歌手になりたい」と言う彼女のために英語の歌を教えられる先生を探したり、片っ端からオーディション情報を集めてくるなど手厚い母のサポートもありました。小学6年生の頃には学校を早退して母と一緒に米軍キャンプに赴きステージに出演するようになりました。 60年にNHKやフジテレビのオーディションに合格し、テレビ出演。61年11月、彼女が14才の頃にヘレン・シャピロのカバー「子供じゃないの」でデビュー。パンチのある歌声にシンコペーションやスタッカートなどを多用し、日本語詞がリズムに上手く乗った歌唱法はその後の日本語ポップス歌手達に大きな影響を与えたと言われています。「10年に一度の天才歌手」と言われ、全盛期にはテレビやラジオのレギュラーを20本以上も持っていたというほど引っ張りダコの人気歌手となりました。

62年には自身の代表曲となるコニー・フランシスのカバー「ヴァケーション」を発売。青山ミチ、伊東ゆかりなどと競作で発売されたこの曲ですが、その中でもダントツの20万枚を売り上げました。その後も「想い出の冬休み」や「砂に消えた涙」、「夢見るシャンソン人形」など多くのカバーヒットを発売。その他にもアパレルメーカー、レナウンの「ワンサカ娘」や栄養ドリンク「アスパラ」のCMソングに抜擢されたり、アニメ、ジャングル大帝の主題歌である「レオの歌」を歌うなど幅広く活躍しました。
	65年には日本人として初めての「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」に出演することになります。元々ジャズの歌を勉強していた彼女は、たまたま同じ新幹線に乗り合わせていたプロデューサーに自ら売り込み、当時18歳の「日本のちっちゃいジャズシンガー」として紹介されフェスティバル3日目のメインアクトを飾りました。
60年代前半には「ポップスの女王」とまで呼ばれた彼女ですが、66年頃からのGSブームの波に上手く乗ることができず、セールスが振るわない状況になっていきました。当時は不発でしたが、この時代に発売された「渚のうわさ」「涙のドライブ」「可愛い嘘」などの曲は筒美京平×橋本淳によるプロデュースで極上の歌謡曲となっています。「渚の天使」は、英国が編集した和製ポップス歌謡のコンピレーション盤として日本でも人気のアルバム「NIPPON GIRLS」に収録され、今でも根強い人気曲です。

そんな低迷期にあった彼女ですが、69年にリリースした「人形の家」でカムバックを果たします。立て続けに「できごと」「ロダンの肖像」「燃える手」などの大人の女の愛の悲しみを歌った曲をヒットさせました。今までの若さとパンチのあるハツラツとしたイメージからガラリと変わり、楽曲も外見も色気を纏う大人の女性となり、再び爆発的な人気を獲得。ファッションや美容の面でも注目を浴び、ベストドレッサー賞を受賞したり、当時では異例のダイエット本「ミコのカロリーBOOK」を出版し150万部を超える大ベストセラーとなりました。その後もコンスタントに音楽活動を続け、現在も往年のカバーポップス歌手達と共にステージに立ったり、ジャズシンガーとしてCDのリリースやライブ活動を行なったりしておられます。最後に私のお気に入りの弘田三枝子ナンバーをご紹介させて頂きます。
	「悲しきハート」 63年7月発売の13枚目のシングル同年の紅白歌合戦の際にも歌われた曲です。みナみカズみによる訳詞の、甘く苦い恋心を歌ったナンバー。明るすぎず、切なさの混じったメロディーが絶妙なバランスを保った名曲です。 B面収録の「月影のレナート」は彼女のパンチある歌声にどハマりしたナンバー。どんどん転調していくメロディーもたまりません。
「渚のうわさ」 67年10月発売。筒美京平×橋本淳タッグの第1曲目。やさしく話かけるように歌うAメロのから、Bメロの情感のたっぷりこもった熱唱に感情移入せずにはいられない1曲。切ない歌詞にドラマチックなオーケストラアレンジ、歌謡曲の良いところがすべて詰まった曲と言っても過言ではない最高の仕上がりです。
	「恋のレッスン」 64年10月発売の20枚目のシングル。ティーン向けの可愛らしくも元気いっぱいのラブソングで、王道ポップス路線まっしぐらな1曲。彼女お得意のスタッカートやシンコペーション、シャックリ唱法を多用したリズミカルかつパンチの効いた歌唱です。これぞ「初期弘田三枝子のイメージ全てを詰め込んだ」、魅力に溢れた1曲です。

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こんにちは、レコード店の松田です。過去に2回カバーポップの女性歌手について書きましたが、今回はその中でも「ポップスの女王」と呼ばれ、カバーポップス期を代表する歌手、弘田三枝子にスポットを当てご紹介させて頂きたいと思います。こちらが以前のメルマガです。・ハイファイ堂メールマガジン第720号掲載「60年代カバーポップス」 https://www.hifido.co.jp/merumaga/2f/171117/index.html 第782号掲載「ベニ・シスターズ、梅木マリ、麻生京子、ほか。」 http://www.hifido.co.jp/merumaga/2f/190125/index.html
ミコの愛称で親しまれた弘田三枝子は、子供の頃から歌が大好きで、流行っている曲はなんでもかんでもすぐ覚え歌ってしまうような子供だったそう。「歌手になりたい」と言う彼女のために英語の歌を教えられる先生を探したり、片っ端からオーディション情報を集めてくるなど手厚い母のサポートもありました。小学6年生の頃には学校を早退して母と一緒に米軍キャンプに赴きステージに出演するようになりました。 60年にNHKやフジテレビのオーディションに合格し、テレビ出演。61年11月、彼女が14才の頃にヘレン・シャピロのカバー「子供じゃないの」でデビュー。パンチのある歌声にシンコペーションやスタッカートなどを多用し、日本語詞がリズムに上手く乗った歌唱法はその後の日本語ポップス歌手達に大きな影響を与えたと言われています。「10年に一度の天才歌手」と言われ、全盛期にはテレビやラジオのレギュラーを20本以上も持っていたというほど引っ張りダコの人気歌手となりました。

62年には自身の代表曲となるコニー・フランシスのカバー「ヴァケーション」を発売。青山ミチ、伊東ゆかりなどと競作で発売されたこの曲ですが、その中でもダントツの20万枚を売り上げました。その後も「想い出の冬休み」や「砂に消えた涙」、「夢見るシャンソン人形」など多くのカバーヒットを発売。その他にもアパレルメーカー、レナウンの「ワンサカ娘」や栄養ドリンク「アスパラ」のCMソングに抜擢されたり、アニメ、ジャングル大帝の主題歌である「レオの歌」を歌うなど幅広く活躍しました。
	65年には日本人として初めての「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」に出演することになります。元々ジャズの歌を勉強していた彼女は、たまたま同じ新幹線に乗り合わせていたプロデューサーに自ら売り込み、当時18歳の「日本のちっちゃいジャズシンガー」として紹介されフェスティバル3日目のメインアクトを飾りました。
60年代前半には「ポップスの女王」とまで呼ばれた彼女ですが、66年頃からのGSブームの波に上手く乗ることができず、セールスが振るわない状況になっていきました。当時は不発でしたが、この時代に発売された「渚のうわさ」「涙のドライブ」「可愛い嘘」などの曲は筒美京平×橋本淳によるプロデュースで極上の歌謡曲となっています。「渚の天使」は、英国が編集した和製ポップス歌謡のコンピレーション盤として日本でも人気のアルバム「NIPPON GIRLS」に収録され、今でも根強い人気曲です。

そんな低迷期にあった彼女ですが、69年にリリースした「人形の家」でカムバックを果たします。立て続けに「できごと」「ロダンの肖像」「燃える手」などの大人の女の愛の悲しみを歌った曲をヒットさせました。今までの若さとパンチのあるハツラツとしたイメージからガラリと変わり、楽曲も外見も色気を纏う大人の女性となり、再び爆発的な人気を獲得。ファッションや美容の面でも注目を浴び、ベストドレッサー賞を受賞したり、当時では異例のダイエット本「ミコのカロリーBOOK」を出版し150万部を超える大ベストセラーとなりました。その後もコンスタントに音楽活動を続け、現在も往年のカバーポップス歌手達と共にステージに立ったり、ジャズシンガーとしてCDのリリースやライブ活動を行なったりしておられます。最後に私のお気に入りの弘田三枝子ナンバーをご紹介させて頂きます。
	「悲しきハート」 63年7月発売の13枚目のシングル同年の紅白歌合戦の際にも歌われた曲です。みナみカズみによる訳詞の、甘く苦い恋心を歌ったナンバー。明るすぎず、切なさの混じったメロディーが絶妙なバランスを保った名曲です。 B面収録の「月影のレナート」は彼女のパンチある歌声にどハマりしたナンバー。どんどん転調していくメロディーもたまりません。
「渚のうわさ」 67年10月発売。筒美京平×橋本淳タッグの第1曲目。やさしく話かけるように歌うAメロのから、Bメロの情感のたっぷりこもった熱唱に感情移入せずにはいられない1曲。切ない歌詞にドラマチックなオーケストラアレンジ、歌謡曲の良いところがすべて詰まった曲と言っても過言ではない最高の仕上がりです。
	「恋のレッスン」 64年10月発売の20枚目のシングル。ティーン向けの可愛らしくも元気いっぱいのラブソングで、王道ポップス路線まっしぐらな1曲。彼女お得意のスタッカートやシンコペーション、シャックリ唱法を多用したリズミカルかつパンチの効いた歌唱です。これぞ「初期弘田三枝子のイメージ全てを詰め込んだ」、魅力に溢れた1曲です。

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